重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは
病原体
ブニヤウイルス科フレボウイルス属SFTSウイルス
人への感染源となりうる動物
日本ではフタトゲチマダニ、タカサゴキララマダニが媒介することや、保菌動物として感染源になることが確認されていますが、キチマダニ、オオトゲチマダニ、オウシマダニ、ヤマアラシチマダニおよびヒゲナガチマダニからもウイルス遺伝子が検出されています。
人への感染はウイルス保有のマダニによる刺咬、人の血液や体液を介しての経路が知られています。ウイルスを保有した犬や猫からの感染報告も増加しています。
症状
6~14日間の潜伏期を経て、発熱、倦怠感、頭痛などの症状で発症することが多く、嘔吐や下痢、腹痛などの消化器症状を呈し、リンパ節腫大を認めることもあります。ショック、急性呼吸促迫症候群、脳症、腎障害、心筋障害、藩種性血管内凝固症候群、血球貪食症候群などの合併症を引き起こすことがあります。
感染経路
SFTSウイルス保有マダニによる刺咬や、SFTSウイルス保有動物の血液や体液へ接触することで感染します。
病原体を媒介する動物
[マダニ(フタトゲチマダニ、タカサゴキララマダニ)]
治療するには
対症療法しかなく、有効な薬剤はありません。
マダニに咬まれた場合は2週間程度発熱に注意し、発熱した場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
予防するには
ワクチンはないため、マダニの刺咬を防ぐ対策が必要です。野外では長袖、長ズボン、首にはタオルを巻く、軍手や手袋の着用、長靴や靴下でズボンの裾を覆う等、肌の露出を可能な限り少なくし、マダニが皮膚に入り込まないように侵入経路を遮断します。
上着や作業着は家の中に持ち込まない、屋外活動後はシャワーや入浴でマダニがついていないか確認する、マダニが服についている場合はガムテープなどで取り除き、粘着面同志を封じてから捨てるなど注意を払います。
ダニが吸血していた場合には、速やかに皮膚科などの医療機関に行き、取り除いてもらいましょう。
ペットの場合
症状
一般的に無症状(不顕性感染)ですが、発熱、食欲消失、白血球減少症、血小板減少症等の症状が認められることもあります。
診断するには
確定診断はウイルス学的検査を実施します。急性期には、血清、口腔・肛門拭い液からウイルス遺伝子の検出を試み、回復期には抗体検査を行います。疑い動物の検査は、国立感染症研究所 やいくつかの大学で実施されています。
治療するには
対症療法しかなく、有効な薬剤はありません。
予防するには
定期的にマダニの駆除薬を投与します。草むらに入った場合は、外でブラッシングした後、室内に入れるようにします。
マダニが吸血していた場合には、無理に引き離してつぶしたり、マダニの口器を皮膚に残さないように注意しましょう。